トップページ ≫ 連載コラム ≫ 第15回:自家熟適正酒
本郷顧問連載コラム:Vintage Sake (全33回)
第15回:自家熟適正酒
長期熟成酒研究会顧問 本郷信郎
2011年03月04日(金)
酒を熟成させたら、どんな美味しさが生まれるかという自然な発想から、江戸期まで造っていた熟成古酒-。その後100年、いったんその姿は消えていたが、ここ30年~40年で復活。酔い醒めが良く、二日酔いがないともいわれる。
伝統ある熟成古酒の“灯”は人々の心の中で細々とともり続け、熟成古酒を自宅で造るなら、とメーカーによって造りだされた。自家熟適正酒がそれである。ついここ10年ほどの酒であり、それゆえ“限定品”でもある。
麹の量は熟成を早める力を持っている。麹の使用量を多くして江戸期まで盛んに造られた酒を現代によみがえらせた多麹酒。通常は、蒸した米と米麹で仕込むが、原料をすべて麹にしてから仕込む全麹酒、そしてほとんど玄米に近い米で作る酒等。熟成古酒造りの為に生まれた自家熟適正酒の価格は容量や年代によってバラツキがある。360~720ミリリットルで、1,000~4,000円程度といったところ。
どこで入手できるのか。まずはメーカーのホームページを参照していただきたい。首都圏なら新宿伊勢丹の熟成古酒専用セラー、それから、全国に散らばる長期熟成清酒勉強グループの酒販店100社がある。
また長期熟成酒研究会ウェブサイト中の「熟成古酒を飲める店」「熟成古酒を店頭で買える店」「熟成古酒をオンラインで買える店」も参考にしてもらいたい。
自家熟成の楽しみとその味の旨さに対する一つの投資として、熟成古酒造りが行われつつある時代へと突入してきている。長期熟成酒研究会では、熟成古酒に関するあらゆる問い合わせに対応している。また、オールド・サケ・ギャラリーでも注文を受け付けている。日本の伝統文化の堀越しが確実に進む中、ただ酔うことだけではなく癒しの境地を楽しんでみてはいかがだろうか。
次回は熟成古酒を極める有段者制度についてお話ししたい。
(Kyodo Weekly 2009.6.8号掲載、問合せ先など一部加筆修正)