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蔵元リレー連載コラム:熟成古酒を極める!(休載中)
第3回:私と熟成古酒との出会い (麗人)
麗人酒造株式会社代表取締役社長 小松修治
2009年11月13日(金)
懐かしい思い出です。昭和41年から約3年間、当時の国税庁醸造試験所へ研修生としてお世話になりました。研究室は第三研究室。室長は大塚謙一先生。吉澤淑先生もバリバリの若手で、主任研究員として張り切っておられた時代でした。第三研究室はいわゆる洋酒の研究室で、ワイン、ウィスキー、ブランデー、ビールなどが研究材料でありました。毎年秋になると、何種類ものブドウでワインを仕込みました。長靴を履き、はぎれ桶の中で、ブドウを踏みつぶしたこと、鮮明に覚えております。当時導入されたばかりのガスクロマトグラフィーを使って、新鮮なブドウ果汁と出来上がったワインの香気成分の変化を分析するのが、私の役目でした。熟成年度の違うヘネシーやクルボアジェを分析して、コニャックの成分の違いも研究いたしました。
月に一回のワイン研究会というのがありまして、坂口謹一郎先生もよく見られました。滝野川から比較的近い池袋三越で、研究会に使う数種類のワインやチーズをたびたび購入しに行きました。研究会の残酒は、喜んで毎回テイスティングさせていただきましたし、ポートワインやシェリーといった名だたる世界の熟成酒にも出会うことが出来ました。
こんな環境で過ごした私の経験は、故郷の酒蔵に帰ってからの日本酒の造りに、大きな影響を与えたのは言うまでもありません。さっそくシェリー酵母を使った熟成酒の研究に取り組みました。この研究は当時の第三研究室で研究していた課題でありますが、我が社の場合、幸か上幸か貯蔵中に偶然に生酸菌(乳酸菌、酢酸菌など)が入り込み、適度な酸味を生み出してくれました。『洒古里(シャブリ)』と名づけて発売した純米酒も、現在7、12、21年物を販売しており、30年物も発売しようかと考えております。洒古里は白ワインを思わせる豊潤な熟成香と滑らかな酸味をもったお酒ですが、チーズやイタリア料理はもとより、酢カキ、〆サバ、お寿司などの魚介類にもよく合います。
同時期に計画的にストックを始めた大吟醸や純米酒も、酒蔵の中で順調に育っております。『越冬譜大吟醸20年』『越冬譜純米20年』も数年前に販売を始めました。さらに31年物から10年物まで、ご希望の年に生まれた大吟醸を受注出荷する『大吟醸ヴィンテージ』のシリーズの体制も出来ました。(詳しくは弊社HPまで)
古く鎌倉時代から日本人に珍重されてきた熟成古酒。宮中の行事などに使用されてきた九年酒。日本人は日本の食文化を大切にしてきました。1缶100円のビール風飲料が出回る殺伐な昨今の時代になっても、私どもは頑張っております。
2009年9月 麗人酒造株式会社代表取締役社長 小松修治
■麗人の熟成古酒■
『洒古里 12年』…2,100円/360ml
★熟マーク認定商品
≪合う料理≫チーズ、イタリアン、お寿司
熟成年数:12年以上
タイプ:濃熟
種別:純米
酸度:5.0
アミノ酸度:―
アルコール度:12%
原料米:美山錦
精米歩合:70%
『越冬譜 大吟醸 20年』…5,250円/360ml
★熟マーク認定商品
≪合う料理≫ 和食
熟成年数:20年
タイプ:中間
種別:大吟
酸度 :1.4
アミノ酸度:―
アルコール度:―
原料米:山田錦
精米歩合:45%
『越冬譜 純米 20年』…360ml/3,150円
★熟マーク認定商品
≪合う料理≫ 中国料理
熟成年数:20年
タイプ:濃熟
種別:純米
酸度:1.7
アミノ酸度:―
アルコール度:17.2%
原料米:美山錦
精米歩合:70%
※このデータはH21年6月のものです。価格など変動する恐れがありますので、購入の際は蔵元へ直接お問い合わせ下さい。