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梁井顧問連載コラム:熟成古酒の魅力(連載中)
第6回:熟成古酒の楽しみ方(1)
長期熟成酒研究会顧問 梁井宏
2012年08月20日(月)
1 色を愛でる
戦後の日本酒は、活性炭による脱色が行き過ぎて、無色透明の酒ばかりになってしまい、色を楽しむことができないばかりか、逆に、色のある酒は劣化しているとみなされるしまつです。
しかし色によって、白、ロゼ、赤に別けられるワインは、その色を見ただけで、その造り方から飲み方までをイメージすることができます。
熟成古酒が従来の日本酒と明らかに異なる点は、緑がかった淡い黄色は淡熟タイプ、黄金色は中間タイプ、濃い琥珀色は濃熟タイプなど、ワインと同様、その色を見ただけで、造り方から飲み方までをイメージできることです。
しかも熟成古酒には、長期間の熟成の過程で麹由来の蛍光物質が作られます。光を受け、グラスの中できらきらと輝く美しさは、他の酒類の追随を許しません。
2 美味しい温度
吟醸酒がブームのころは「上等の酒は冷やして」といわれ、居酒屋などでお燗の酒を頼むと「お燗をするような悪い酒は置いていません!」と突っぱねられました。
吟醸酒を究極の日本酒とする、全く偏狭な発想によるもので、日本酒の飲み方、楽しみ方の幅を狭めた罪は少なくありません。
一般的にワインの飲み方は「赤は室温、白は冷やして」といわれます。熟成古酒もそのタイプによって「美味しく飲める」温度は変わります。
分かりやすくいえば、「その酒を熟成させるときの貯蔵温度」に近い温度がよいとされ、淡熟タイプは少し冷やして(10~18℃)、濃熟タイプは涼しい室温(20~25℃)となります。
しかし、それぞれ酒によっては、ぬるめのお燗も捨てがたいものがあります。