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白木顧問連載コラム:長期熟成酒の歩みと将来について(全8回)
第2回:何故熟成酒に向かったのか(2)
合資会社白木恒助商店会長・長期熟成酒研究会顧問 白木善次
2012年02月20日(月)
そんな中で一つ記憶に残っていることとして、岐阜県の青年醸友会の代表として県の新酒鑑評会の審査の一員に選ばれました時、私の評価は全く論外のものとして退けられ、その後は二度とそういうことに関わることはありませんでした。
酒は商品である以上、飲んで頂く消費者の選択に任せるべきであるというのが、今も変わらぬ私の一貫した主張でありますが、地酒屋として個性のある商品が必要であり、製造方法、販売方法まで同基準でワンパッケージの状態では全く生き残りの余地はないと思ったのは至極当然のことであったと思い出しております。
そういう意味で云えばその当時既に吟醸酒もそのパッケージの中に組み込まれていたものであり、地酒屋としての画然たる差別化商品とはならないという思いでありました。そんな折、大学の先輩でもありました業界の先輩のひとりから酒席の中で熟成酒の面白さやその歴史などの話を興味深く聞いていましたし、当時良く用いた言葉で「中吟」といわれたものの1.8リットルビン詰め品が市販酒に混合されることなく残って熟成した、その酒の旨さは当時印象に残ったものでした。
父の従兄弟で東京在住の人が友人を伴って訪れた酒席で、その酒は、大変喜ばれたこともあり、種々の規制にとらわれることなく、差別化を計る術として熟成酒を選択した訳であります。