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梁井顧問連載コラム:熟成古酒の魅力(連載中)
第2回:熟成古酒のタイプ別分類(1)
長期熟成酒研究会顧問 梁井宏
2012年06月20日(水)
熟成古酒はその造り方、熟成のさせ方によって、淡熟タイプ、中間タイプ、濃熟タイプに分けられます。
(1) 淡熟タイプ
○造り方と熟成温度
大吟醸酒、吟醸酒など米を白く磨いた吟醸系の酒を、低温で熟成させるものです。吟醸酒は搾ってすぐにでも美味しく飲める、大変素晴らしい酒ですから、あえて熟成をさせる必要を認めない人も沢山おられますが、以下のように目的をハッキリ決めて熟成をさせると、さらに素晴らしい酒に変わります。
A.吟醸酒の特徴を残すため10℃以下の低温でゆっくりと熟成させる。
B.吟醸酒のフレッシュさにはこだわらず、15℃~20℃以下で熟成させる。
○色の特徴
A.色の変化はほとんど見られず、熟成前の吟醸酒の色を保ちます。
B.青ざえした淡い黄色から、刈り取り前の、たわわに実った稲田の輝くような黄金色まで、元となる酒の造り方の違いと、時間の経過によって色の巾は広がります。
○香の特徴
A.フルーティな香は残しながら、新酒時のプンプンとした香ではなく、落ち着いた柔らかい香となり、少し進むと木の実よう香が加わります。
B.フレッシュでフルーティな香は消え、木の実をカリット噛んだこうばしい香、バターを焦がした香、花梨を干した甘い香、シェリーよう香など複雑な香りが入り混じります。華やかさは消えますが、上品で気持ちの落ち着く優しい香です。
○味の特徴
A.吟醸酒の特徴である軽快できれいな味を残しながら、新酒の荒さが取れ、柔らかく爽やかな味わいです。
B.新酒の渋みや荒さは消え、柔らかく絹のようなすべりのよさが特徴です。熟成が進むにつれ苦味は増えますが、新酒時の舌に残る苦さではなく、舌を洗い、料理との相性をよくする重要な働きをします。
(2) 中間タイプ
淡熟タイプ、濃熟タイプには明らかな線引きではなく、淡熟から濃熟へ連続した違いの中間に位置するものです。造り方、熟成温度、色の特徴、香の特徴、味の特徴などもそれぞれ中間的です。